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第27話 謎の少女、ユナ

Author: みみっく
last update Huling Na-update: 2025-07-13 07:00:10

 それに、手を見たが剣術やナイフを扱っているような跡もなかった。体も訓練をして鍛えた感じもなく、訓練でできる傷さえもなかった。それに、本人が言っている通り……食事は満足に取れている様子はなく、体は痩せ細っていた。

「飯を食って落ち着いて話すか……」森を彷徨っていて衰弱した感じではなく、普段から食事を与えられていなかった感じもする。その痩せた体つきは、彼に同情を抱かせた。

「え!? ごはん!? わ、わぁ……たべるっ! 食べるっ!」少女は嬉しそうに返事をした。その瞳には、飢えと希望が入り混じっていた。

「悪いが、お前が気を失っている時に……体を調べさせてもらったからな。武器とか持っているかもと思って……」後々バレて文句を言われても嫌だしな、とユウは正直に告げた。

「あ、うん。べつに……いいよ。こんな場所をうろついている子は、いないもんね〜」少女は笑顔でユウを許してくれた。その無邪気な笑顔に、ユウの心の氷は完全に溶けた。

「俺は、ユウだ。外で料理を作ってくれている女性は、エリーだ。お前の名は?」ユウは優しく自己紹介をした。

「わたしは、ユナだよ。よろしくね」と、可愛く微笑んだ。その名前は、彼の心に温かい響きを与えた。

 ユナは話の通りに農民の子供の格好をしていた。ツギハギだらけで、あちこち破れてボロボロになったワンピースは、薄汚れて元の色も判別しがたいほどだ。全身は土や埃で覆われ、まるで長い間野をさまよっていたかのよう。その細い腕や足は骨ばっていて、見るからに栄養が足りていないのが分かる。顔色も青白く、目の下には深い隈ができており、今にも倒れそうなほど衰弱しているのが見て取れた。

 髪の毛は茶色でボサボサのロングヘアーだ。だいぶ臭っていたが、本人が悪いわけではないので文句は言えない。食事ができるまでに臭いをどうにかしないとな。

 確か、アニメとかだと水と風の魔法で洗浄魔法ができるんだよな。とはいっても、いきなり本人で試すわけにはいかない。衰弱している少女にもし攻撃魔法になってしまったら、瀕死の状態になってしまう。

「俺は、ちょっと外で試したいことができた。お前は、少し寝て休んでいてくれな」とユナに言った。

「……え? やっ! わたしも……一緒に行く!」と言い、ユナがユウの服を掴んできた。その小さな手には、ユウを離したくないという強い意思が感じられた。

「別に良いけど、ふらつくんじゃないのか?」まだ顔色は悪いし、無理をすることはないと思うんだが……。とはいえ、一人にされるのが心細いのだろうな、とユウはユナの心情を察した。

「分かった。背負ってやるから……大人しくしてろな」と言い、ユナに背を向けた。ユナは嬉しそうな表情をして、ユウの背中に抱きついてきた。

「わぁい♪ お兄ぃの、おんぶだぁー♪」思ったよりも元気な声を出した。続けてユナが「お兄ぃ。どこ行くのぉ?」と、耳元で普通の声量で聞かれて……うるさい。

「お前……元気だな?」苦笑いをしながらユナに言った。

「……静かな方が良かったぁ? ざんねーん。わたし……元気だもんっ♪」と言い、背負っているユナがユウに抱きしめてきた。

 ユナは女の子で、そこそこ胸もあって少し柔らかな、ふにゅふにゅとした感触が背中に伝わってくる。薄い布越しにもかかわらず、その小さな体の曲線が感じられ、ユウの心臓は不思議な高鳴りを覚えた。幼いながらも女性らしい柔らかさが、背中に密着するたびに意識を集中させ、戸惑いと同時に微かな興奮が胸に広がった。

♢ユナとの新たな絆

「まあ、元気な方が良いんじゃないのか?」と、ユウは当たり障りのない答えを言った。

 大人しい子もいいけれど、元気な方がいいよな。アニメの好きなキャラクターを思い出すと、俺は元気っ子が好きだった。それに、俺は人見知りで口数が少なかったし、一緒にいるなら元気で明るい子の方が、きっと気が楽だろう。

 ユウが答えると、ユナはほっとしたように小さく息を吐き、さらに背中にぴたりと密着してきた。その瞬間、ユウの首筋に柔らかな頬の感触がした。気のせいかと思っていると、ユナの小さな手がユウの服の裾をぎゅっと掴み、頬をすり寄せてくる。

「良かったぁ……。わたし、お兄ぃの好みなんだぁ……? にひひ……そっか、そっかぁ〜♪ お兄ぃ……♪」ユナは耳元で囁くように嬉しそうに言い、その声色には、ユウに向けられた明確な好意が滲み出ていた。意識を取り戻してまだ10分くらいだぞ? その驚きと戸惑いが、ユウの胸に広がった。

 家を出ると、屋外キッチンがあり、エリーはカマドの火を調整しているところだった。鍋から立ち上る湯気と、香ばしい匂いが漂ってくる。

「あれ? 気がついたんですね? どちらへ!?」エリーが驚いた表情で、ユウとユナを交互に見て聞いてきた。その視線には、少しの不満と、心配の色が混じっている。

「ちょっと試したい魔法があって外に出ようと思ったんだが、一緒にいたいと言われてしまってな……。家の周りにいるから、食事の準備ができたら声を掛けてくれないか?」とユウはエリーに言った。

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